福岡県八女市の野田製菓では伝統の銘菓「黒棒」をつくっています。
昔ながらの製法は今もかわらず、一本一本手づくりで真心込めてつくる野田製菓の「黒棒」。
百十余年五代にわたる伝統と改良により、昔ながらの素朴さを保ちながらさらに美味しく育ちました。
筑後地方では古くより、筑後川と矢部川の豊富な水と肥沃な土地によって米とともに小麦の栽培が盛んに行われてきました。また、この豊富な水を巧みに利用することにより、水車を使った製粉工場も多く作られ筑後地方の小麦粉文化を育んできました。(この「豊富な水」は先人の大変な努力によってもたらされたものです)
一方、筑後地方では江戸期より自家用のサトウキビ栽培も盛んに行われており、サトウキビや黒砂糖は家庭の身近な食材でした。
そこに、シュガーロード(長崎街道)を通って南蛮菓子(ビスケット、ビスコッティ)の製法がもたらされたことにより、これらが絶妙に結びついて誕生したのが「黒棒」の始まりと考えられています。
いつ頃から作られるようになったのか定かではありませんが、
それほど自然に広がり家庭のおやつとして愛されてきました。
「黒棒」はまさに、筑後の風土と食文化から生まれ、庶民によって
育まれてきたお菓子と言えます。

野田製菓で使用する小麦粉は、八女市内にある江戸時代から250年以上続く小麦粉屋さんで挽いてもらったものです。
この製粉所で使われている原料の小麦は、すべて福岡県産(主に筑後地方産)の「シロガネ」と「チクゴイズミ」。
今も石臼を使い丹念に挽かれている粉は、目が細かくおいしさが詰まっています。この無漂白の安心・安全な小麦粉がおいしさの秘訣です。

野田製菓のある八女はお茶作りに適した風土と気候に恵まれ高級茶の産地として有名です。特に奥八女は日本一の玉露の産地で、川面から発生する霧が山肌を覆い適度に日光を遮るため、深い甘みのある味が生まれるのです。
「さつき」に使用している抹茶は、奥八女・星野にある「星野製茶園」で作られる高級抹茶を使用しています。奥八女山間部の茶葉のみを使い、石臼で丹念に挽かれたこだわりの抹茶は、奥八女茶独特の深い風味が詰まっています。
その深い味わいを、そのまま生かしたのが抹茶棒「さつき」です。
この抹茶の風味を味わって戴けるよう、クロレラなど着色料は一切使用していません。

近所の卵屋さんから産み立てを持って来てもらいます。この"鮮度"が決め手。いい素材だからこそ新鮮さを大事にしております。
「野田の黒棒」に欠かせないのが、良質の生姜。隠し味ではありますが、生姜の良し悪しは味のバランスに大きく影響します。近年、農薬などの問題も指摘されていますので、安心・安全でしかもおいしい生姜がないかと数年探し求めて、やっと出会ったのが「徳之島産生姜」でした。
徳之島はミネラル豊富な赤土と花崗岩の風化土壌が中心なので土壌消毒が不要。また離島の為本土に比べ害虫が少ないので、消毒が極端に少なくて済みいい生姜が採れるのです。そして栽培期間が長く完熟することで、辛み成分であるジンゲロンやショウガオールが多く含まれ、香り、色が非常に良いのが特徴です。
この徳之島産生姜は、黒砂糖の味を引き締め、さらになんとも言えない深みを与えてくれます。
また、白棒はより生姜の風味が効いていますので香り高く酸味のある徳之島生姜が大活躍。上白糖の上品な甘さに素晴らしいアクセントを付けてくれます。
クロボウやるから泣き止めと 母の背中で泣き止んだ
あの日の続きを今泣こう 黒棒恋し 母恋し
「野田の黒棒」をこよなく愛された洋画家・故井上三綱先生より戴いた「クロボウの詩」。
黒棒は永年に渡り最も庶民的なお菓子として、また、風流人のお茶の友として老若を問わず広くご愛顧頂いております。